森に入ると
みんないい顔になる。

どうしてだか、森に入るとみんないい顔になります。

だからハヤチネンダは、「森の仕事」をつくりました。
名付けて「山ノ上倶楽部」の「森入リ」。

「いのちを還す森」のなかで、
人が通れるくらいの道をつくったり、
森の中をきれいに整えたり。

わたしたちが使うのは、手の中に収まるような道具です。
通り道の笹や芒は丁寧に刈り取りとります。
風で折れた枝は拾ってきちんと揃えて積んでおきます。
いつまでに終わらせなければならない仕事ではありません。
無理なくゆっくりと。いつの間にか無心。

じんわりと汗をかき、
見上げる空に雲が流れるのを見るのはいいものです。
一休みして輪になってお茶を飲むのも嬉しい時間です。
早池峰山が姿を見せてくれたら最高です。

森に手を入れながら「いつかここに眠るんだな」という
納得が身体に落ちていきます。

わたしが死んで、風景が残る。
わたしたちは森を守るのではなく、
森に救われるために森に入るのです。

通えなくてもかまいません。
一度森を訪れれば、森は私たちの身内に種を落としてくれます。
その種を大切に育てて森にすればいい。

わたしの中にも森がある。
通り道の笹や芒は丁寧に刈り取りとります。
風で折れた枝は拾ってきちんと揃えて積んでおきます。
疲れたら、ひと休み。
いつの間にか隣に山の神さまがすわって笑っていました。

つづき