2022年 新年のご挨拶
2022年1月1日
たより
明けましておめでとうございます。
ハヤチネンダの「いのちを還す森」が接する駒形神社の参道脇には姥百合がありました。
楚々とした花もさることながら、かっと口を開いた実の姿はなかなかの異形ぶりで、私たちは冬になるとその実ができるのを楽しみにしていました。
裂けた殻の中には、薄くスライスしたような半透明の楕円の翼の中央に種を擁して、何枚もの切片が重なって格納されています。
強い風の日を待って、一斉に飛んでゆく種の様子を想像すると勇ましくもあり、切なくもあります。
そのうちの多くは芽を出すこともなく土に還るのでしょう。
風に舞う種たちは、「いのち」の営みとは本来そうしたものであり、だからこそ尊いことを私たちに教えてくれます。
参道の姥百合はいつしか姿を消してしまいました。
けれども、風に乗って行き着いた場所でいくつかの種が命脈を保っているに違いありません。
遠野の森は、新年の淑気に満ちて、「いのち」の営みを静かに見守っています。
本年が皆様にとりまして幸多いものとなりますよう。
2022年 元旦