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【募集中】設立5周年記念特別プログラム 『死者と共に生きること』/政治学者 中島岳志さんを迎えて/2024年12月8日オンライン・無料

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2024年10月21日 ンダ部 on WEB


ハヤチネンダは、この11月27日で財団設立5周年を迎えます。
5年の歩みを支えてくださったみなさまに心から感謝申し上げます。

節目の記念に、政治学者の中島岳志さんをお迎えして「死者と共に生きること」をテーマにお話を伺います。

どなたでも無料でご視聴いただけます。
是非ご参加ください。


イベントへのお申込みはこちら(Peatix)
https://ndabu-onweb-5th.peatix.com/


「死者と共に生きる」。それは、私たちハヤチネンダがずっと考え続けてきた切実なテーマです。
ハヤチネンダには会員組織の「山ノ上倶楽部」があります。
会員は、埋葬の森でもある「いのちを還す森」で活動し、希望すれば没後にこの森に埋葬されます。
私たちは当初より、終生はもちろん亡くなった後も「会員」としての存在を認めたいと考えてきました。
それをどのようにして担保すればよいのか、難しい課題に向き合い続けています。

中島さんは、政治学者でありつつ、親鸞に関する著作や利他に関する著書や論評もたくさんおありです。
そんな中島さんの窓を通して見ることで、「死者と共に生きる」とはどういうことか、多くの示唆を得られることと思います。
そして、私たちが思う「政治」や「民主主義」の可能性が、時間や生物の種さえも越えて、大きく展開しつつあることを教えていただきます。

大切なものがこぼれ落ちてゆく時代に

生まれ育った風景や、丹精込めた田や畑や、大切な人とのかかわりや、そこここに<いのち>の居場所をみつけることができた、昔。
周りには、過去から受け継がれ、大切にされてきたものがあり、それは未来に受け渡すに足る価値のあるものでした。
人は、当たり前のようにその大切なものを守るために生きました。

今、<いのち>は、私のもの、私だけのものになってしまいました。
資本主義の速度は速く、目の前の風景は目まぐるしく変わっていきます。
受け継がれ、受け継いでいくべきものが、私たちの手からこぼれ落ちていきました。

個人化が進み、消費社会に寄る辺なく漂いながら、私たちは、そのような時代に生きています。

「死者の民主主義」「死者の立憲主義」

中島さんは長く「死者のデモクラシー」「死者の立憲主義」という議論を展開してきました。
きっかけは、東日本大震災だったといいます。

「私たちは死者と出会いなおさなければなりません」と中島さんは言います。

その存在や行為、言葉の上に私たちが暮らしていることを自覚しなければなりません。死者と対話し、自己の被贈与性に思いを巡らせるとき、そこに『弔い』が生じ『利他』が起動します。私たちは死者からの発信を受け取り、まだ見ぬ未来の他者に向けて、発信しなければなりません。

中島岳志著『思いがけず利他』ミシマ社より

著書より書影/『思いがけず利他』、『利他とは何か』、『保守と立憲』、『いのちの政治学』
書影/『思いがけず利他』、『利他とは何か』、『保守と立憲』、『いのちの政治学』

「デモクラシーは死者との協同作業」であることを知り、「今」という時間を特権化しないこと。
「この『今』は、死者が築き上げてきた膨大な経験知や暗黙知によって支えられているのですから」と中島さんは繰り返します。
そのような意味では、私たちが戴く憲法は、権力だけではなく「今の私たち」を縛るものでもあると言えるでしょう。

中島さんはこのような考え方を通して「民主主義」の時間を長く引き伸ばして見せてくれます。
遠く過去へ、そして遠く未来へ。

ヒトという種を越えて 自然の主権

更に、中島さんの議論は「民主主義」の地平をさらに遠くへひらいていきます。
ヒトを越えた世界へと。

ニュージーランドでは、先住民マオリの聖なる川であるワンガヌイ川が、2012年、世界ではじめて法的人格を認められました。
南米のボリビアでは2010年に「母なる大地の権利法」が公布され、例えば開発する際に森や川の意見を聞かなければならないといいます。
私たちは、ついそれを特別なことと思ってしまいがちです。
けれども中島さんは「大工が木の声を聞きながら仕事をする、杜氏が麹の声を聞きながら酒をつくる、お百姓さんが苗と対話する、職人の世界では当たり前に今もあることだし、庶民のなかに豊かに生きているものです」と言います。

昨今「マルチスピーシーズ」という言葉を耳にするようになりました。
人間中心の世界から、見えない菌類まで含めたあらゆる生きものの主体を認める世界へ、と転換を促す考え方です。
それは新しいというよりも、かつて多くの人が当たり前としてきた感覚かもしれません。そうした感覚を今の私たちが手に取ることで、現代の社会の制度も政治も、そして暮らし方も、より良い方向に変わってゆくことができるような気がします。

私たちが死者からのギフトによって生かされて在る、奇跡のような存在であることを実感できたとき、私たちは再び<いのち>の安寧や納得を取り戻すことができるのかもしれません。


ハヤチネンダ設立5周年記念特別プログラム

政治学者 中島岳志さんを迎えて
『死者と共に生きること』

日 時 :2024年12月8日(日)14:00~15:30
     ※本編終了後16:00まで放課後部活
     (少し気軽な感じで中島さんや参加者と対話する時間)を
     持ちたいと思います。

場 所 :オンライン(Zoomを予定)
     *見逃し配信あります

参加費 :無料

お申込み:Peatixのイベントページからお申込みください。
     ※お申込みいただいた方へ当日の昼頃視聴URLをご案内いたします。


イベントへのお申込みはこちら(Peatix)
https://ndabu-onweb-5th.peatix.com/


特別プログラムゲスト プロフィール

中島岳志(なかじま・たけし)さん

1975年、大阪生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。学術博士(地域研究)。2005年『中村屋のボース』で、大仏次郎論壇賞、アジア太平洋賞大賞を受賞。北海道大学大学院准教授を経て、現在、東京科学大学(旧東京工業大学)リベラルアーツ研究教育院教授。

著書

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