たよりとお知らせ

【終了】「人のさいご」を知る・伝えることー尾山直子さんを迎えて/2024年6月5日(水)オンライン

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2024年6月5日 ンダ部 on WEB

2024年最初のンダ部on WEBは、訪問看護師で写真家の尾山直子さんを迎え、私たちの誰にでもやってくる自分の〈最期〉について知ること、伝えることについて、みなさまと一緒に考えたいと思います。


イベントへのお申込みはこちら(Peatix)
https://ndabu-onweb-18.peatix.com/


尾山さんは、2021年4月のンダ部on WEB第1回のゲストとしてお迎えしてから、2回目のご登壇となります。当時ご紹介くださった、「えいすけさん」の〈さいご〉を記録した写真は、その後、「ぐるり。」と名付けた展示にまとめられています。それは在宅医療の中で閉じてゆくいのちの様子が、ときに可笑しく、そして愛おしくて、いつまでも心に残り、生前の「えいすけさん」に会いたくなるような展示でした。制作の背景などについて丁寧につづられた記事がありますので、ご紹介します。

福祉を訪ねるクリエイティブマガジン『こここ』/“自分らしく生きる”を支えるしごと vol.12

現在は訪問看護師として働く尾山さんですが、以前、総合病院に勤務していたことがあり、病院と在宅での看取りの風景が、大きく違うことに気づいた、と語ります。

病院の看取りでは、当然ですが医療者が場面を進行します。患者さんに心電図がついていて、医療者に「お別れです、どうぞ」と言われてから、家族が遠慮しながら手を握る、みたいなシーンがよくあって。病院は医療を提供する場所なのでそうなんですけど、在宅では、ちょっと違うんですね。私たち医療者は一歩下がって、家族がその最後の瞬間に立ち会うのを、隣で看取ります。初めて在宅での看取りに立ち会ったとき、そのこと(医療者は家族が看取ることをサポートする)の自然さに驚いて、温かな気持ちで納得したことを覚えています。

そして、「在宅で迎える死をめぐる風景は、それぞれのその人らしさ、家族らしさがあって、良いものですよ、と伝えたいんです」と、しっかりした口調で話してくれました。

5月末日、彼女が勤める医療機関から、『人のさいご』という本が出版されます。

尾山さんたちが制作した『人のさいご』は、文字通り、人がどうやって命を終えていくのか、その最期の様子について伝えるもので、ご家族ではなく「本人」に向けてつづられています。
在宅で人を看取る尾山さんが、今どんなことを考えて、この冊子の編集に携わっていらっしゃるのか、ハヤチネンダを応援してくださる皆さまと一緒にお話を伺いたいと思い、機会をつくることにしました。

一人称で考える「死」の壁

養老孟司さんは、著書『死の壁』の中で、私たちの「死」の捉え方について、「死体の人称」という興味深いことばを使って説明しています。短く意訳すると以下のようになります。

「死」の定義は非常に難しいので、講義の中では「死」ではなく「死体」という言葉を使ってきた。死体はより具体的で、物体に近く説明しやすいからだ。ところが、その物体である「死体」にも3種類あることに気づいた。一人称の死体は、〈わたし〉の死体、これは、主体として見ることのできない「ない死体」。二人称は〈あなた〉の、関係ある人の死体で、受け入れにくい「死体ではない死体」。そして三人称は〈彼や彼女〉の、「誰か」の死体で、「本日の交通事故による死亡者◯名」、のように、客観的に認識できる「死体である死体」である。

特にユニークなのは、一人称の死体、すなわち「ない死体」です。幽体離脱でもしないかぎり、自分の死体を主体的に見ることはできないので、〈わたし〉が認識できる「私の死体はない」ことになるわけです。何か推理小説のタイトルのようですが、自分の「死」を理解することの難しさがわかる面白い表現でした。

「私ね、美しく死にたいの」

『人のさいご』は、「本人」、つまり一人称の「死」について知りたい人に向いて書かれています。最初、尾山さんたちチームメンバーには「ご本人に伝えることは、本当に良いことなのだろうか」という葛藤があったそうです。死について「考えたくない」人がいることもよく知っていて、きっと具体的な患者さんの顔も浮かんでいたのではないでしょうか。それでも出版に向けて踏み出したのには、やはり患者さんの言葉がありました。

「私ね、美しく死にたいの。それにはね、自分の最期がどうなっていくのか、きちんと知っておきたいの。尾山さんは知っているんでしょう?」

自分の死に向き合う人たちに、どう伝えたら、少しでも安心して終わりに向かえるのか、チームメンバーで幾度もヒアリングと議論を重ね、『人のさいご』は出来上がりました。

「自分の死」について、以前から知りたかった、というひと、考えたことがなかった、「考えたくない」という方もいらっしゃるかと思います。それぞれの心の赴くまま、よろしければご一緒ください。

そうそう、養老先生は『死の壁』の帯にこんなコメントを載せていました。

死について考えると、あんがい安心して生きられます

※このプログラムは、公益社団法人 国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド」の助成を受けて実施します。

「人のさいご」を知る、伝えることー尾山直子さんを迎えて

聞き手:赤池円(ハヤチネンダ理事/私の森.jp編集長)

日  時:2024年6月5日(水)19:00~20:30
    (終了後21:00ごろまでの放課後部活を予定)

場  所:オンライン(Zoomを予定)
     *見逃し配信あります

参 加 費 : 1,500円
      2,000円(ご参加+応援)
      3,000円(ご参加++応援)
     *ハヤチネ山ノ上倶楽部会員(会費あり)の方は無料でご招待します
     *ンダ部会員(会費なし・登録制)の方には割引があります
     *どちらもメールでご案内する割引コードをご利用ください

お申込み:Peatixのイベントページからお申込みください。
参加方法:お申込み頂いた方へ当日の午前中に視聴URLをご案内いたします。


イベントへのお申込みはこちら(Peatix)
https://ndabu-onweb-18.peatix.com/


案内人プロフィール

尾山直子(おやま・なおこ)

1984年埼玉県出身。看護師/写真家。「桜新町アーバンクリニック」在宅医療部にて訪問看護師、広報として勤務。高校で農業を学んだのち看護師の道に進み、複数の病院勤務を経て2012年より現職。訪問看護師の勤務の傍ら、2020年京都造形芸術大学美術科写真コースを卒業し、現在同大学大学院に在籍。かつて暮らしのなかにあった看取りの文化を現代に再構築するための取り組みや、老いた人との対話や死生観・看取りの意味を模索し、写真を通じた作品制作を行っている。2021年よりデザインリサーチャーの神野真実と共同で写真展「ぐるり。」を開催し、各地を巡回。


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