【終了】<いのち>を繋いでいく場 ─ そこに流れる「経済」の在り方/小林泰紘さん/2024年7月24日(水)オンライン
7月のンダ部は、これまでとやや毛色の違う内容を。というのも、今回は「経済」というテーマについて、みなさまと考えを深めていきます。案内人として、2021年にもンダ部へ登壇いただいた一般社団法人Ecological Memes 共同代表の小林泰紘さんにご一緒いただきます。
イベントへのお申込みはこちら(Peatix)
https://ndabu-onweb-19.peatix.com/
色々な扱われ方をされる「経済」という言葉 ─
「経済」という言葉は、暮らしのための日常的な金銭のやり取りを示すこともあれば、世界貨幣全体の潮流を指すこともあります。一方で、今、私たちハヤチネンダが関心を寄せていることは、共同体や自然との接続点を大切にしている「人だまり」や「場」を繋いでいくための「経済」の扱われ方です。なぜなら、その探求と実践こそが、寄る辺(よるべ)を失いつつある、現代を生きる個の<いのち>が、再びさまざまなものとの繋がりを取り戻す扉になると信じているからです。
そして、今回のンダ部では、世の中で研究されている概念としての「経済」の紹介ではなく、ユニークな「経済」への試みを紹介しながら、新たな「経済」のつくり方や関わりの持ち方を考えていきます。
経済という言葉は、…中略… 語源を辿れば、ギリシャ語のオイコ・ノモス、つまり英語でいうマネージメント・オブ・ライフに始原を持つ。…中略… 生きることそのものをどのように管理運営していくか、それが本質の経済のテーマなのだ。
『阿蘇グリーンストック』/佐藤誠編集
西粟倉村ではじまった「森林信託」 ─
ひとつ目の題材は、岡山県・西粟倉村(にしあわくらそん)で起きている森と経済の話です。
西粟倉は、人口が約1,400人、村の約95%が森林の小さな村です。かつては「家が困れば裏山が助けてくれる」と言われるほどに、経済基盤として、地域資源として、暮らしの中心にあった森との関わりですが、林産物の貿易自由化をきっかけに村と森との関わりは失われます。裏山にはツタが茂り、間伐のタイミングを失った人工林には獣が闊歩するようになる中、2008年、村の存続をかけて「百年の森林構想」というプロジェクトが立ち上がります。その後、村と森林組合・民間企業・金融機関が連携し、森の所有者から信託を請け、管理を行い、切り出された材を加工して資金化させ、利益の半分を所有者へ配当する、という「森林信託」という経済の流れが起きています。
「特定多数経済」への挑戦 ─
ふたつ目の題材は、書籍『ゆっくり、いそげ。』の舞台、西国分寺にお店を構えるクルミドコーヒーさんでの「経済」についての考え方です。
クルミドコーヒーさんは「訪れる人が来た時よりもよい顔で帰っていく」、その繰り返しの中で地域全体によい雰囲気が醸成されていくことを願い、2008年につくられました。カフェを訪れた人は、席に用意されている長野産のクルミを自由に食べることができるなど、数々の工夫の中で「受贈的な人格」を共に育み、想いを共有する特定多数のメンバーで、モノやサービスを売る・買うという「点」ではなく、空間時間で過ごす「線」や「面」を分かち合うような経済感覚を培っています。
特定多数の人々と関わり続けるためには、「直接的(個人的)であること」や「健全な負債感」が大切と影山さんは語ります。
「いいものを受け取る」ことは、その人を次の贈り主にすることなのだ。
『ゆっくり、いそげ。カフェからはじめる人を手段化しない経済』/影山知明 著
個の<いのち>をこえて景色へ託していける「経済」 ─
最後の題材として、私たちハヤチネンダの中で始まった「いのちを還す森・埋葬プロジェクト」についても挙げたいと思います。
ハヤチネンダは「自然と<いのち>の物語を紡ぎ直す」ということを主軸に活動しており、その志をのせた船をすすめていくエネルギーは、現在は、賛同・支援いただいている方々からの寄付や、助成金、関係者資金の中でつくられています。ですが、私たちがこの先に思い描いている出来事として、街や森での時間を共有していく先に、個の<いのち>をこえて託していける「経済」の在り方が生まれるのではないか、と考えています。冒頭触れたように、その経済観こそ、私たちが改めて自然や<いのち>との関わりを取り戻すきっかけになると感じています。
大地は、次のように歌う。
論評 受け取ることの存在論 - マルセル・モース『贈与論』の本質/中島岳志 著
わたしを受け取ってください(受取手よ)、
わたしを与えてください(与え手よ)、
わたしを与えれば、わたしを改めて得ることになるでしょう。[インドの古典『マハーバーラタ』355項]
…中略… 私たちが生きるということは、「受け取ること」に他ならない。太陽や大地からの一方的贈与を受け取ることで、はじめて生の営みが成り立つ。私たちは自分たちの意思を超えて、受け取っている。受け取らなければ、生きることができない。この根源的な「受け取り」に気づくことによって、私たちは生の本質を知り、次に「与え手」になることができる。
今回は、これらの題材をもとに小林さん、そして参加いただくみなさまと、これからの「経済」の在り方について深めていければ嬉しいです。ご興味ある方、日々新たな「経済」を実践されている方、ぜひご一緒ください!!
ハヤチネンダのンダ部onWEB #19 <いのち>を繋いでいく場 ─ そこに流れる「経済」の在り方
案内人:小林泰紘(一般社団法人 Ecological Memes 代表理事・発起人)
聞き手:今井航大朗(一般財団法人ハヤチネンダ代表理事)
日 時 :2024年7月24日(水)19:00~20:30
*終了後21:00ごろまでの放課後部活を予定
場 所 :オンライン(Zoomを予定)
*お申込みいただいた方へイベント開催から1週間程度で見逃し配信のURLが限定公開されます
参加費 :1,500円
2,000円(ご参加+応援)
3,000円(ご参加++応援)
*ハヤチネ山ノ上倶楽部の方はご招待します
*ンダ部の方には割引があります
*どちらもお申込みいただいた方へメールにてご案内する割引コードをご利用ください
お申込み:Peatixのイベントページからお申込みください
参加方法:お申込みいただいた方へ視聴URLをご案内いたします
*視聴URLはイベント当日にメールにてお送りいたします
イベントへのお申込みはこちら(Peatix)
https://ndabu-onweb-19.peatix.com/
案内人プロフィール
小林泰紘(こばやし・やすひろ)さん
一般社団法人 Ecological Memes 代表理事・発起人 / エコシステミック・カタリスト / リジェネラティブ・ファシリテーター
人と自然の関係を問い直し、人が他の生命や地球環境と共に繁栄していく未来(リジェネレーション)に向けた探究・実践を行う共異体 Ecological Memes 共同代表/発起人。『リジェネラティブ・リーダーシップ』を日本に伝え、実践・深化させるためのリーダーシッププログラムや翻訳活動も展開中。